はじめに
中高生の理系離れは深刻ですが、その一因となっているのは数学の難しさかもしれません。数学ができない中学生が多いことからも、学習方法を変える必要があるかもしれません。今回はそれをテーマにしたい。
数学が苦手な中高生が多いのですが、それを解消するために躓いた箇所まで戻って理解させていく必要があると言われます。これは、決して間違いではないでしょう。確かに、1次関数を理解していない中学生に2次関数が理解できるわけがありませんし、等式の変形がわからなければ方程式もできません。それどころか、分数の計算ができなければ割合関係の計算もできません。そのため、躓いた場所まで戻って学び直しすることは有効な方法かもしれません。しかし、それで数学の苦手がなくなるわけではありません。それと同時に、計算速度と正確に問題を解く力を伸ばす必要がある点です。
中高生の数学を教えていると気づくことは、問題を解くことはできるけど時間がかかる生徒がいることです。そのため、問題自体は解けているから躓いているとは言えないのですが、この様な生徒の場合に数学の点数が伸びない場合が多い。例えば、「解の公式は覚えている」「何を代入するかわかっている」、でも計算が遅いので時間がかかる場合があります。そのため、A君が10問解いている間に、B君は3問程度しか解けていない場合があります。そのため、この計算速度の差が数学を苦手にしていると言えるでしょう。
上図のように、同じ時間だけ勉強しているはずが学力差はどんどん開いていきます。そして、計算速度が遅いと言うことは演習量が不足していきます。特に、高校生では1つの問題で解き終わるまでに時間がかかることから、この計算速度の差は非常に問題となります。
【進研ゼミ中学講座】「ゆっくり理解して問題を理解すれば良い」と言われることがあります。しかし、それは間違いの場合もあります。なぜなら、数学では「早く正確に解く必要がある」「じっくり考えて問題を解く」の2パターンをバランスよく使用する必要があるからです。
例えば、四則計算など計算問題をゆっくり解く必要があるでしょうか?むしろ、「早く正確に解く」ことの方が大事ではないでしょうか。これは、日常生活でも言えることですが、食器洗いを丁寧にゆっくりとするより「早く綺麗に」した方が別の仕事をする時間が生まれます。そのため、数学の基本的な内容は「早く正確に解く」ことが大事だとわかります。そして、基本的な内容を「早く正確に解くことができる」なら、文章問題や応用問題、高校生の数学なども十分対応できます。
数学を早く正確に解くためには反復学習が必要です。最近の、小中学生は反復の問題演習量が少ないだけでなく、計算問題などは全問正解するまで徹底的に取り組んで欲しい所ですが、ある程度できれば満足する傾向があります。結果として、定期試験の点数は悪くない様に思えて基礎が固まっていないため、新しい範囲になれば躓き始めます。そして、結果としてどうしよもない状況になります。一方で、しっかりと計算問題を反復学習できた生徒は同じ内容を説明しても比較的早く理解を示します。
これは、数学が好きな中高生が問題を延々と解いている姿を見ますが、結局はどれだけ多くの問題を解いているかが学力の基礎になります。ただ、基礎ができていない学生が高校生の問題や中3の数学と取り組むと時間ばかり浪費することになります。そのため、どこで躓いたかを見つければ内容を理解させるだけでなく反復学習で早く正確に解けるようにすることが大事です。
以上のことから、中学1年生や2年生であれば躓き箇所まで戻って学び直しは十分可能です。そのため、数学が苦手と感じたら計算速度を上げるために反復学習に取り組んでください。