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定期試験廃止は中高生にとってデメリットの方が大きい5つの理由【教育】

定期試験を考える

先進的な学校の中には、色々な学校改革の中で定期試験を廃止する学校がある。定期試験が廃止されるメリットを述べているが、デメリットの存在を忘れているのではないだろうか。それについて考えてみたい。

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中学校や高校の中では従来とは違った授業をする場合があり、そのことが賞賛されやすい状況にある。そのため、定期試験の廃止も従来の教育から改革する意味では斬新と言えるかもしれない。しかし、実際に効果があるのは一部の中高生だけに思える。

まず、定期試験の廃止で効果的なのは、受験勉強を中心に授業展開をするコースに在籍の生徒である。特に、高校の場合は定期試験の勉強と模試の勉強は必ずしもリンクしていない。なぜなら、定期試験は試験範囲が決まっており狭い範囲であるが、模試では学習した範囲が全て入る。そのため、模試を中心に考えている生徒の場合は定期試験がなくても影響がないだろう。実際、高校3年生の2学期期末試験や学年末試験を頑張る一般入試を受ける受験生はいないでしょう。また、学習塾で学力を伸ばせば良いと考えている生徒も定期試験を廃止しても問題ないだろう。そもそも、小学6年生以上で過半数以上が塾に通っている段階(*中3で8割前後)で学校教育だけでは不足していることが露呈している。もちろん、学習塾に通ったから学力が伸びるわけではないが、学校の授業だけでは不足と考える保護者が多いにも関わらずに定期試験まで廃止する必要はあるのだろうか。

これらのことから、学力上位層や受験対策を中心とする学生にとって定期試験はなくても良い。ただ、多くの中高生には必要だと感じる。もっとも、定期試験を廃止することを論じるより、学習塾に通わなくても十分な学力を手に入れるシステムが必要ではないのだろうか。

観点別評価になって成績のつけ方の客観性が揺らいでいる。そもそも、授業ごとに生徒一人一人の状況を把握することは困難であるだけでなく、煩雑な作業ばかり増える。これは大人の社会でも人事考課などで適切に人員を配置されたり評価されていると感じている人の方が少ないのではないでしょうか。そのため、定期試験を評価の中心にすれば客観性は出せるのですが。

例えば、授業中に騒いでいる場合に授業評価を「減点する/しない」の基準が教員により異なっては不公平です。また、進級や卒業させるために平常点を操作する場合もあるでしょうが、これも不公平です。そのため、客観的な評価をつける点では定期試験は非常に便利な存在です。もし、定期試験がなければ小さい単元ごとのテストややり直し、レポートで採点をしていくことになりますが、それがテストほど厳密に実施されるとは限りません。

観点別評価になってから、評価基準をつくるためにプリントの提出やレポートの提出などが以前より増えた気がします。これは客観的な成績資料をつくるために仕方がないのでしょうが、定期試験を廃止して単元ごとのチェックをしなくても既に観点別の影響で実施しています。

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定期試験1週間前から多くの中学校や高校は部活動も活動停止して勉強をする時間が与えられます。もちろん、1週間前からしっかりと勉強する中高生は一部でしかないのでしょうが、1週間程度のテスト期間さえ勉強できない中高生が増えてくる可能性があります。

もちろん、定期試験前しか勉強をしない生徒が多いと嘆いているのかもしれませんが、別に定期試験を廃止しなくても単元ごとにチェックすれば良いのではないでしょうか。定期試験を廃止してしっかりと勉強ができているなら、3日~5日程度の期間ならテストを実施しても問題ないのでは?むしろ、日常的に学習しているなら1日で試験は終わります。この様に考えると、敢えて定期試験を失くさずに並行して学習できるはずです。ただ、定期試験を廃止したことが教育改革とアピールするためなら仕方がないのですが。

ただ、定期試験期間で勉強を一生懸命取り組ませる方が効果的でしょう。なぜなら、受験勉強はもっと長期間の学習が必要になります。また、定期試験を廃止しなくても定期試験を廃止した学校が取り組んでいる教育内容は十分可能ではないでしょうか?

中高生の全員が定期試験の勉強をするとは言いません。ただ、何をしても勉強しない生徒は一定数います。一方で、定期試験があるからこそ勉強を頑張る生徒も多くいます。また、保護者も定期試験の点数の方が目に見えて成果がわかりやすいと言えるでしょう。

そもそも、定期試験で点数を伸ばしていくことは生徒に自信になります。もちろん、小テストでも一定の効果がありますが、ある程度は山は高くないと高いレベルにはなりません。そのため、定期試験が2ヵ月程度ごとに試験があるので、いつでも頑張れば結果を残せます。

そもそも、「小テスト」(1~2週間ごと)→「定期試験」(2~3ヵ月ごと)→「実力テスト」(3~6ヵ月ごと)→「入試」というスモールステップで学習すれば良いでしょう。そのため、スモールステップなしで受験勉強ができる学生は少ないでしょう。

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従来の教育から改善を求めて教育改革をするのは理解できるが、「なぜ、その教育改革は必要なのか」という改革がある。ただ、従来と違った教育改革をする方がやった感はでるでしょう。そのため、定期試験の廃止は新しい教育という感じはするでしょう。

ただ、高校の入試システムは筆記試験が中心であり、大学入試でさえ推薦入試による進学者は学力が不安視されているように、日本の教育制度では筆記試験は避けることができません。ただ、①学習意欲が低い生徒、②日本の授業についてこれない生徒(外国籍の生徒)などは筆記試験は避けたいでしょう。①の生徒は、定期試験の学習意欲はわかないが短い単元なら学習する生徒にとって有効です。ただ、教育改革の目的は学力の底上げなのか、上位層を伸ばすのかはっきりさせる必要があります。と言うより、定期試験ぐらいは勉強させる環境が必要では…。②に関しては、最近増加傾向にある外国籍の生徒ですが、試験でルビを振る必要があるなど日本語を理解していないケースがあります。その様な生徒には定期試験は大変でしょうが、これも別対応で考えた方が良いでしょう。

そう考えると、教育改革をやった感はでますが、敢えて定期試験をなくさなくても併用しながら改革は可能な気がします。

定期試験を廃止することで効果がるのは、学力上位層など受験勉強を普段からしている中高生(*ただ、学校の授業に頼っていないのが現状)になります。また、学力下位層は定期試験を廃止したから小単元ごとも勉強をする意欲がわくと考えるのは甘いでしょう。現行の小テストを考えれば、小単元ごとでも勉強はしません。では、学力中位層にとっては勉強するきっかけがなくなるリスクはあります。それは小学生のような勉強の仕方を中学・高校でもしてしまうということになります。そもそも、中学校で定期試験を廃止しても、高校で実施しているなら意味はないでしょう。

もし、定期試験を廃止するなら全教員が取り組めるようなシステムを構築しておかなければなりません。レポート提出、課題提出、再テストをクラス全員に促していくことがどれだけ大変か経験がある人にはわかります。

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