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『推し、燃ゆ 』芥川賞を受賞した宇佐見りん のアイドルファンを描いた小説

第164回芥川賞受賞作した作品の感想

作 者宇佐見りん
出版社河出書房新社
ページ数144ページ
受賞歴第164回芥川賞

推し、燃ゆ [ 宇佐見 りん ]

価格:1,540円
(2021/2/15 09:36時点)
感想(2件)

『推し、燃ゆ 』あらすじ

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」で始まる印象的な文章であるが、主人公のあかりはアイドルの上野真幸ファンとして応援を続けていた。その際に、暴力をふるったというニュースが飛び込んでくる。あかりにとって上野真幸が全てであったのに、それが失われようとしている。三島由紀夫賞最年少受賞の21歳した宇佐見りんの第二作になる。

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」が印象的な小説

第164回芥川賞を受賞した作品であり、期待して久々にハードカバーで購入したのですが、最初の印象は字が大きくて薄いでした。ページ数も144ページなので長編小説のイメージだったのですが、むしろ短編小説の雰囲気をを感じてしまいます。

まず、注目したのは設定です。「推し」という比較的最近の言葉を大学生がどの様に文章にしているかが興味があった点です。芥川賞を受賞している点と「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」という冒頭に知らない世界を見ることができると期待をして本を読みました。

結論から言えば、中高生が読むには丁度良い内容と分量である。一方で、全体的に軽い印象を受け、2時間もあれば読みきることができる。そのため、芥川賞の小説と読むと違和感を感じる点があるが、大学生の視点で見た世界観としては面白みを感じられ、前作の『かか』ではどのような表現していたかが気になる。

読者に委ねる点が多いため物足りなさを感じることもある

作者の本を数冊読んでいたり、設定の内容を詳しく知っているなら空白な状況(読者が想像を楽しむ余地)があった方が面白い。ただ、今回はアイドルオタクに関して詳しい知識がないこともあり、一体ファン心理はどの様な感情でいるのかが深く知れるという期待があった。

そして、「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」と冒頭で振っているので、一体何があったのか、主人公側とアイドル上野真幸側の両方の苦悩(視点)を見ることができると思ったのですが、思った以上に空白な状況(読者が想像を楽しむ余地)が多く不完全燃焼な部分が残ってしまった。

また、主人公のあかり自身が何かの障害を持っている(作中には病名は書かれていない)のだろうけどページ数に対して設定を盛りすぎた点がある。そのため、純粋にファンのために全てを捧げた主人公の話を期待していたこともありズレがでてしまった。

一方で、具体的な表現(描写)方法では秀逸な点もあり、細かく表現しようとしている点から年齢の割に能力があることがわかる。ただ、本作でここまで深い表現いるかなぁ?と思う点もあるので、実際に作者の本当の表現方法は何なのかが気になり前作や次回作を読みたくなるのは確かである。

全体として、中高生が読むなら丁度良い分量と内容である。一方で、読書に慣れている人なら短編の感覚で読んだ方が楽しめるかもしれない。

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