• 観光や食べ物など趣味を中心としたblogです

『センゴク天正記』戦国史上、最も失敗し挽回した男(仙谷久秀)の物語

仙谷久秀を通して戦国時代を知ることができる

『センゴク天正記』の基本情報

作 者宮下英樹
出版社講談社
掲 載週刊ヤングマガジン(2008年~2012年)
発刊数全15巻(*センゴク一統記へ続く)
SNShttps://twitter.com/sengoku_YM

『センゴク天正記』あらすじ

織田信長の新政権が起こった天正年間の頃の話で、前作の『センゴク』で大名となった羽柴秀吉の下で仙石権兵衛秀久は22歳で千石の土地を与えられた武将になっていた。武田家との合戦に備えて、織田信長・羽柴秀吉の側で戦い続けた武将の物語である。織田信長包囲網から甲州征討までが描かれている。

よほど戦国時代が好きでないと聞いたことのない武将を主人公にした作品

仙谷久秀は羽柴秀吉の寄騎として最も早く出世した一方で、失態も多くあまり高い評価を受けてこなかった人物である。作品内でも粗野であり調子ものであり、見ていてハラハラする点も多いが裏表がなく戦場では頼りになる点などオン・オフの差が激しいところが魅力の一つと言える。そして、この作品には大きく1574年の長島一向一揆、長篠の戦い、雑賀攻め、手取川の戦い、中国攻め、甲州征伐が描かれており全ての戦いに仙谷久秀が参加しているわけでないが、織田家を中心とした戦いをクローズアップするため当時の織田家が置かれた状況がよく理解できる。

物語のお気に入りの戦いが長篠の戦である。非常に有名な戦いであるが馬防柵を設けて三段撃ちで圧勝したと思われがちで、武田勝頼の愚策により失策したと思われがちであるが本作を読めば見方が変わってくる。武田勝頼の描き方が不気味な存在で描かれており(前作の三笠ヶ原の戦いでは勇猛な姿であったが)、武田信玄の跡を担った存在として凄味があった。そして、武田方の武将であり古参であった山県昌景の一騎駆けのシーンや長篠の戦いが敗戦となった際の馬場信春による殿(しんがり)による討死にシーンは時代の新旧交代を象徴するようで見応えがあった。

なぜ、『センゴク』が面白いのか?

本書の面白さは常に仙谷久秀がギリギリの所で戦っている点にあるかもしれない。出世としては早い段階にしているにも関わらず、常にギリギリの中で生きているスリル感がある。そして、歴史的な考察がされているので、新説やどの様な考えで描いたかを作中や巻末で説明してくれているので納得の物語になっておりリアリティがある。

それぞれのキャラクターに個性を持たせて、敵は存在するが悪者とするのではなく、その人物にはその人物の物語を感じさせながらストーリーが展開されている。現在も連載中であり4部まで続いており根強い人気があるのがわかる。順番に見ていったら、仙谷久秀より羽柴秀吉の成長もわかって面白い作品である。

歴史好きはもちろん、歴史をあまり詳しくない人でも読んで面白く感じる作品である。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。