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『ラストイニング―私立彩珠学院高校野球部の逆襲』高校野球を監督目線で描いた野球漫画

根性論ではなく理論による高校野球の面白さが描かれている

『ラストイニング―私立彩珠学院高校野球部の逆襲』の基本情報

作 者原作・原案 神尾龍
作画 中原裕
出版社小学館
掲 載ビッグコミックスピリッツ(2004年~2014年)
発刊数全44巻

『ラストイニング―私立彩珠学院高校野球部の逆襲』あらすじ

36年前に甲子園初出場で優勝を果たした彩珠学院高校は名門と呼ばれていた時期もあったが、今では弱体化して甲子園予選初戦で敗北するレベルであった。学園の経営も悪化していることもあり広大な野球専用グラウンドなどその原因となった野球部を潰そうとする意見が上がった。校長であり優勝メンバーの狭山 滋明は「来年の夏までに甲子園に出場」できれば野球部の存続を認めることを約束として取り付ける。そして監督に目をつけたのは13年前にキャプテンであった鳩ヶ谷圭輔である。彼は甲子園県大会予選準々決勝で判定を巡り審判を殴った過去があり、この頃はインチキセールマンであった。すべてが逆境の中で甲子園に出場できるのだろうか。

理論的な視点で野球が描かれている漫画

高校野球でありがちなスポ根ドラマでないのが本作の魅力である。主人公の鳩ヶ谷圭輔は巧みな話術と高校野球に対する深い知識により理論により高校生の能力を引き上げている(*鳩ヶ谷の野球に対する知識は物語中に描かれている)。例えば、練習方法にしても個々に理由を持たせて練習させていることがわかる。選手の特性を見抜く力は抜群であるが、見た目が軽く胡散臭いこともあり信用されづらいが…。そして、配球や野手・投手など理論による高校野球が描かれていることで野球好きにはたまらない作品になっている。

また、高校野球特有の保護者・学校・マスコミ(本作ではフリー)・業者・審判など色々な思惑が絡んでおり、単純な青春ドラマではなく現実的な高校野球の魅力を描いた作品である。

選手たちの面白さ

投手の日高 直哉は我儘であり俺様タイプの選手であるが、最初に鳩ヶ谷の策により打ちのめされた後は我儘なりに鳩ヶ谷を信頼していく。母親の溺愛ぶりは凄まじいが次第に成長していく姿が見て取れる。一方、女房役の捕手八潮 創太は素直な従順なタイプであるが疑問に思ったことは気にせず聞くなど空気が読めない点もある。この凸凹コンビが物語を面白くもしてくれる。選手としては中心になる2人である。

ただ、それぞれが個性を持っているが、やはり監督の鳩ヶ谷視点で描かれていることもあり、努力=勝利ではなく、正しい効果的な方法=勝利が徹底されている。

『ラストイニング―私立彩珠学院高校野球部の逆襲』の名言

投手はイケイケのプラス思考、捕手はあらゆる失敗を想定するマイナス思考…プラスとマイナスが揃ってるから、”バッテリー”ってんだよ

鳩ヶ谷のセリフであるが、投手の特徴と捕手の特徴を上手いようにとらえた内容である。捕手は投手を押さえつけるだけではダメで上手く乗せることを考えながらリスクを避けなくてはいけない。かつて野村克也がID野球を唱えたが、それを彷彿とさせる内容である。

ナイスゲームなんて負けた奴が言うセリフだ!!

熊谷元大栄野球部監督のセリフであるが、中々考えされるセリフである。本作では勝つことに執念を見せているように、ナイスゲームという言葉を簡単に使えない。必死であればあるほど、ナイスゲームで終わらせる陳腐さを考えされる。

俺が怒るのは出来るはずのことをやらなかったり、集中すべき所でいい加減なプレーをした時だけだ!!

熊谷元大栄野球部監督のセリフであるが、叱り方の基本はこれではないだろうか?出来ることを怠慢さから出来なかった場合は本気で怒られても仕方がない。一方で、できないことを要求して怒るのはおかしい。それを見極めることが重要である。

たとえ、お前が残りのアウ卜を全部三振で取って次の打席でホームラン打ったとしても、七回裏に1点取られた事実は消せないんだよ。

鳩ヶ谷のセリフであるが、厳しいように聞こえるかもしれないがスポーツも仕事も重要なことはミスをしないことである。ミスを取り戻すことはあるが、そもそもミスをしまければ済む話である。これも怠慢さえなければよかった点であり、野球を通して物事を考えさせてくれる。

本作は単純なく高野球漫画というより、大人も読んで楽しい深い内容の作品である。監督視点で描きながら選手たちの葛藤も描かれているので面白い。

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