教員の業務分散による負担軽減だけでなく、他の担任が干渉できない学級大国を防いで、複数の目で子供を見守る狙いがあるチーム担任制であるが、果たして教育改革としては正しい道なのか考えてみたい。
まず、自分の立場であればチーム担任制を導入して欲しいかと考えれば答えは「No」である。なぜなら、明らかな煩雑な仕事が大幅に増加するためである。それは、チーム担任制をすることによって情報共有が必須となりチーム内の打ち合わせ数が増加するためである。その打ち合わせ時間が授業時間のようにしっかりと確保されていれば別であるが、実際には放課後の隙間時間を見つけて情報共有することになるが、その報告や対応など話し合えば時間がいくらあっても足りない。そもそも、放課後に会議の時間(打ち合わせ時間)を調整するだけで、結構な手間がかかる。そのため、無駄な作業時間が増加する懸念はある。また、打ち合わせ(会議)で必要事項だけ簡潔に話して終わるケースの方が少ないのではないでしょうか?コミュニケーションと言えば聞こえは良いが業務が残っている場合にイライラします。逆に、打ち合わせが少なければチーム担任制の意味もないわけですから仕事増の増加をどこで吸収できるかが鍵です。
また、誰とチームを組むかによって負担増加になる可能性がある点も嫌なものです。机上の空論のように、ベテランが若手を教えながらチーム一丸となって問題を解決していくことが理想でしょう。しかし、現実問題としてベテランであっても教科指導力や生と指導力が乏しい先生もいれば、人の話を聞かない場合や一般常識が欠如した若手もいます。また、隙あらば仕事を誰かに押し付けようとする先生もいます。そのため、自分に合ったメンバーでチーム担任制であれば効果的ですが、自分に合わないメンバーでチーム担任制であれば負担が急激に増えます。これは、ある意味で企業の〇〇課と同じなのでしょうが、動かない教員のために理解してもらえる資料や説明をすることの方が精神的な負担が大きくなります。例えば、調査書をチェックした際に「ら抜き言葉」など日本語として誤っているから訂正して欲しいとお願いに言っても「間違っていない」の一点張りで騒ぐだけ騒いで管理職からも誤っていると指摘されても、まだ文句を言われたケースがあります。この様に、誰と組むかで仕事量や精神的な負担が大幅に増加する運試しの制度は個人的には好ましくありません。
そして、問題ある生徒や保護者に対して誰が責任を持って対応するかが不明。例えば、教室を抜け出した生徒、理不尽な要求をしてくる保護者など矢面に立たされる教員の負担が増加します。しかも、チーム担任制であれば報告・相談する人数が増えるだけでなく、その対応策に関してもチーム内でまとめる必要があります。結果、対応をまとめて関係部署や管理職に報告するまで膨大な時間がかかるケースがあります。また、ここでも面倒な生徒や保護者は押しつけやすい先生に押し付ける負の連鎖が始まります。逆に、関わるとトラブルが悪化するから触れさせないケースもありますが…。
この様に考えるとメリットがないように感じます。そもそも、学年団や教科(中学生以上)がしっかりと連携とれていれば問題がないことが多くあります。また、小学生範囲で苦手科目や専門科目(実技などを除けば)と言っている段階で学力面で不安しか感じません。それより、授業の空き時間を増やす(教科担当制に変える)、生徒の在籍数を減らす方が効果的と感じます。
どちらにせよ、チーム担任制ではチーム内が同じ方向を向いていれば素晴らしい制度といえます。ただ、ガチャ要素が多い点と、やりやすい先生は馴れ合いを生むリスクがあることを考えた方が良いでしょう。
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担任による学級王国による暴走を防ぐ意味でチーム担任制は有効なのでしょうが、そもそも学年団や学校自体が学級王王国の暴走のチェック機能を果たしていない段階でチーム担任制にしたといっても問題は解決しなしでしょう。
また、複数の担任がいる方が生徒によって合う先生と合わない先生がいるので良いと考えるのは理解できます。ただ、この点は生徒に迎合しすぎている気がします。そもそも、学校は社会の縮図である以上は、「合わない人」に対してもどの様に接するかを学習する必要があります。大人になって「自分にとって良い上司や先輩だけが存在する世界」に直面した際にどうするつもりでしょうか?そうすると、生徒にとって優しい先生の方が人気が出てしまい(*単に甘いだけですが)、普通の先生が損をする自体が発生します。
学級王国は暴走する可能性がありますが、一方でチーム担任制は煩わしさが増大します。実際に、面倒だと感じたことは始業式後のオリエンテーションでクラスの生徒に皆で桜をバックに写真撮影しようと言ってクラス写真を撮影しただけで文句を言われます。また、長期休暇中に希望者だけ自習登校させても先生のクラスだけと文句を言われます(他クラスを引き受けると言っても休みの時は休みたいから嫌らしい)。そのため、担任に責任を持たせる方が良いのかチーム担任制の方が良いのかは教員自体の力量と生徒の質次第の点が大きく出ます。
ただ、そもそも小学校にしても教科担当制や在籍数を減らすことで教員の負担は大きく減ります。また、抱えきれない問題は担任と切り離して専門の担当をつくれば良いのではないでしょうか。それこそ、いじめ問題は強制的に警察、クレーム処理は専門部署、不登校生徒は別分掌が対応すれば良いでしょう。そうすれば、教員の負担もすくなくなるだけでなくチーム担任制という面倒な制度は不要でしょう。