国公立大学に対する無条件の信頼が高校生だけでなく、保護者や教員の中にある。ただ、国公立大学の合格者数が多いからといって、高校での受験指導が優れているいう訳ではない。では、どの様な場合に国公立大学の合格者数が多くても評価されないのか考えてみたい。
難関国公立大学に進学できるなら問題ありませんが、「難関私大と地方・中堅国公立大であれば、どちらに進学しますか?」。医学部など一部の学部を除けば、自宅から通える難関私大と下宿が必要な地方・中堅国公立大学では金銭的な負担は差がありません。では、国公立大学だから評価されると言いたいのですが、私立大学から公立化した大学も多く、その地元では有名であっても都市部では知らない人も多い場合があります。例えば、国公立大学志望の高校生に一橋大学といっても知らないと言われるケースがあります。同じように関東からすれば神戸大学の難易度はわからない高校生も多くいます。そのため、敢えて難関私大ではなく、地方・中堅国公立大学に進学する理由は何でしょうか?
まず、1つに高校で国公立大学の実績重視を重視した進路指導をしている可能性があります。第一志望であれば問題はありませんが、共通テスト(センター試験)の自己採点後に河合塾のバンザイシステムを使用してA判定がでる大学を全国から選んで受験させる場合があります。そのため、合格者数に対して進学者数の数が大きくズレている場合があります。中には生徒や保護者が学校の実績のためと進んで受験する場合もあり、そう考える場合は学校への感謝の意味が強いのでしっかりと指導したといえます。
2つ目は、国公立大学のイメージを上げ過ぎた点です。クラス全体で国公立大学の志願者を増やすためには国公立大学の良さを日頃から言い続ける必要があります。そのため、〇〇大学が良いではなく、国公立大学が良いとだけ刷り込んでいきます。結果として、私立大学のことを何も考えていない場合や漠然と「国公立大学=優秀」と刷り込まれている場合があります。実際、地方・中堅国公立大学に進学した生徒の中には関関同立レベルさえ不合格の場合があります。また、産近甲龍も落ちたけど国立大学に合格したという例もあります。そのため、全ての国立大学が優秀ではないのですが良すぎるイメージを植え付けた結果かもしれません。
最後に、受験生と保護者の気持ちが優先される点です。受験勉強の辛い所ですが、そもそも難関私立大学なら指定校推薦で進学できたにも関わらず、一般選抜入試まで頑張ったために指定校で合格している他の生徒に負けたくないという気持ちです。これは十分に理解できますし、受験勉強は良い経験になったといえるのは他人だからであって、現在進行形の受験生からすれば負担が重たいものです。そのため、今更指定校で行ける大学に行きたくないという気持ちは十分理解できます。そのため、国公立大学を選択する場合があります。
これらの理由により、地方国公立大学などを受験しているのかもしれません。もちろん、進学するなら問題はありませんし、実際に進学した生徒も楽しそうにしているケースはあります。一方で、合格実績数のために、地元の受験生の進学を阻んでいる可能性はあまり関心はできません。受験だから仕方がないのでしょうが、やはり受験する以上は進学する意図を持って受けて欲しい。
家電・デジタル家電の宅配買取なら「NETOFF家電」!個人で国公立大学を目指す点には問題ありませんが、中にはクラス全体の雰囲気を考えて最後の最後まで国公立大学の指導をしている場合があります。明らかに、国公立大学の受験ができる水準でない場合であれば、科目を絞って難関私大を目指した方が合理的に思えます。もちろん、何人かに1人は3年後半で大化けする可能性はありますが、基本的に全科目が中途半端になってしまう場合があります。
例えば、文系希望者で得意科目は理科であり、苦手科目は英語の生徒がいました。そのため、文系科目を絞りながら勉強すれば良いのですが、全科目バランスよく勉強をさせていました。結果として、センター試験の得点率が60%弱であり、文系科目も中途半端になってしまいました。理科と数学ⅠAが点数が良く(ⅡBはダメ)、私大受験も難関大学を狙えない状態になりました。
この様なことが散見されます。早めに科目を絞った方が良いと言っても、「科目数が少なくならば余裕が出て勉強量が減る」と言われます。決して、難関私大は簡単ではないのですが…。
以上のことを考えれば、「地方国公立大学(下宿)か関関同立(早慶・MARCH)(自宅通学)」で大学のこだわりがなければ後者を薦めます。一方で「地方国公立大学(下宿)か産近甲龍(日東駒専)(自宅通学)」であれば絶妙なラインになってしまいます。そのため、合格実績で地方国公立大学が多いということは学力を伸ばしきれなかった可能性もあります。
やはり、合格者数、進学者数をしっかりと掲載していない以上は安易に進学実績を評価するのは難しいでしょう。