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安易な大学生の起業が失敗するデメリットを考える【進路選択】

起業のリターンとリスクを考える

はじめに

昔と違い株式会社の設立にも資本金がそれほど必要としないことから誰でも簡単に起業することはできます。そのため、大学生の内から起業を目指す学生も多くいます。では、大学生が起業することのリターンとデメリットを考えてみましょう。

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会社を設立すれるハードルが難しくないこともあり、大学生から起業を目指している学生が多くいます。そのため、本来は「〇〇のサービスを皆に届けたい」「〇〇を開発して利用してもらいたい」など具体的なプランがあり、それを実現するために起業を計画するのですが、起業を目的となている大学生の中には起業がゴール点となっている場合があります。そのため、簡単に参入できる業種や起業しやすい内容から起業計画をつくっている場合があります。しかし、大事なのは起業後に事業を継続していくことができるかどうかの点です。

最近は、地方公共団体や各企業などが起業を後押しする動きがあります。大学生向けのプログラム支援やビジネスアイデアのコンテストなど様々な支援をしています。確かに、一部の起業家はスタートアップ企業として成功を収めているかもしれません。しかし、大学生から起業するリスクを考えずに簡単に後押しする状態には疑問を感じます。

そもそも、起業者の平均年収は日本人の平均年収より少ないため、大学生は新卒で就職した方が収入面で良い可能性が高いといえます。また、会社の組織に入るより起業する方が自由度が高いと思うかもしれませんが、事業を続ける負担は簡単ではありません。

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理由1:起業に対する真剣さが足りない

大学生が起業する際に、起業後に事業を継続する意識が低い場合があります。就職活動に有利になるから、失敗すれば撤退すれば良いなど簡単に諦めることがあります。以前、テレビで大学生が高校時代から起業に興味を持っていたアルバイトでためた百万円を元手に学生がコミュニティーをつくりやすいカフェをオープンしたと話していました。そして、1年でカフェは廃業したので次の起業を目指していますと語っていました。起業を経験したことのある場合に、飲食関連の起業にも関わらず資金の少なさ(何らかの学生支援は受けているのかな?)と1年で廃業する計画性のなさを感じます。要は、就職活動の強み・意識高い系の大学生を目指している・面白そうだから等の理由がメインになっています。これらの場合は起業が目的であり、事業の継続が目的でないためかもしれません。

理由2:資金力不足

開業後に利益を出す水準まで売上を伸ばすには時間がかかることが多くあります。初期費用だけでなくランニングコストを計算に入れてシュミレーションすると思いますが、実際には想定外の費用がかかることがあります。その場合に、大学生が用意できる資金は決して多くはないでしょう。また、金融機関からの借入が簡単でもないため直ぐに資金不足に陥る可能性があります。もしくは、たとえ利益を出すことに成功してもアルバイトで働いた方が収入が多いという場合もあります。そのため、「資金不足→廃業→顧客が残される」というリスクが存在します。もちろん、飲食や物品販売など一過性の顧客であれば問題ありませんが、継続的に利用を考えていた顧客にとっては不満しか残りません。通常は、ある程度の資金があるから開業するのですが、少額から開業ができるため起きる弊害になっています。

理由3:起業ごっこ

起業を目指している大学生の中にはサークルの延長線上に起業がある場合があります。社会人として必要なマナーが身についていない場合も多く、起業を目指していると言いながら大学生の遊びに付き合わされていると感じる場合があります。起業を目指している大学生(A)から知り合い(B)と面談して欲しいと頼まれたことがあります。それは、相手が業務を進めていく中で顧客のニーズを知りたいため面談の時間をとって欲しいと頼まれました。そのため、(A)の付き合いのことも考え快諾をしました。ただ、初対面だけどzoomで良いの?全然深掘りした質問がないけど大丈夫?と思いながらBとの面談は終わりました。一応、Bは礼儀正しく話していたので不快感はありませんでした。ただ、Aに次の日に会った際に、Bとの面談に時間を割いたことのお礼があるわけでなく、今回の件の世間話程度もこちらから言わなければ何も言ってこないことがありました。そのため、起業したいと言っている割に社会人に必要なスキルを身につけていないと感じます。もちろん、古臭い考え方と言われる人もいるのでしょうが、「どの顧客をターゲットにしているのか」を考え、それに合わせた見た目や話し方をする必要があります。

理由4:経験不足が否めない

起業を経験したことのある人は本業以外にも税務関連・人材関連・各種届出など色々な作業があります。もちろん、外部に委託すれば良いのですが、ある程度の規模や資金力がないと収益を圧迫することになります。特に、資金力のない大学生であれば自ら動かなくてはいけないことも多いでしょう。ただ、書類関連でも想像以上に面倒な作業であることがわかります。

社会人からの起業であれば仕事の流れなどがわかっている状況ですが、大学生の起業では理想と現実の違いに戸惑うかもしれません。また、起業を後押しするプログラムを受講していても、起業後の方が大変なことが多くあります。場合によれば本業のために時間がとれないかもしれません。

起業して成功できる人物は一握りでしょう。そもそも、普通に就職する方が良い場合があります。それが以下の図になります。

例えば、大学生が起業して収入で400万円を得たとします。その金額は大学生としては成功ですが、会社が右肩上がりに成長していくとは考えられません。場合によれば収入が増えない(減る)可能性も高いでしょう。そのため、新卒で大企業に就職した方が明らかに生涯年収で大幅に違いが出る可能性があります。起業を考えている人の中には、その業態でどうやって利益を伸ばせていけるのか?と思えることも多くあります。そのため、本当に将来性があるかどうかを見極める必要がありますが、大学生がそれをできるとは考えられません。そのため、本当に良い商品・サービスでない限りは社会人と同じ土俵で戦って勝てるようにしないといけません。

また、大学生が起業することは周りから応援されることが多いでしょう。そのため、相手も多少の損をしても商品やサービスの購入をしてくれます。これは、若さの特権でもあり、新卒などが営業で知識がなくても商品を購入してくれるのはその点です。それは起業した大学生にも同じことが言えます。ただ、その武器はいつまでも使えるわけではありません。

ただし、起業して成功する人物は、技術やアイデアがない場合でも「行動力がある人物」・「コミュニケーション能力がある人物」、そして「コネを多く持っている人物」ではないでしょうか?一方で、起業を経験すれば就職活動に有利と考える人もいますが、それはコミュニケーション力と行動力は評価される一方で、簡単に会社を譲渡や廃業できる規模の仕事内容では評価されない可能性があります。なぜなら、大企業であれば何億円、何十億円以上の規模の取引を考えます。それは仕事の質が大きく変わるため、起業したからOKではないでしょう。

最大の問題点は大学生活と片手間に起業することは困難な点です。それより、新卒で働いて技術を学んだ方が良い場合もあります。もちろん、ハイリスクをとるからハイリターンを得る可能性があるわけですから起業自体は悪いものではないかもしれません。ただ、なぜ起業を大学生の間からする必要があるのかわかりません。起業する良いアイデアと資金と行動力があれば起業は良いのですが、起業することが目的になっているだけの場合もあります。

そのため、しっかりとリスクを考えながら行動する必要はあるでしょう。

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