大学受験でも中学受験でも志望校に合格するためには勉強時間を増やすことは不可欠です。ただ、勉強時間を増やしても一向に学力が伸びない受験生が多くいます。しかし、本当に勉強時間だけ伸ばせば良いのでしょうか?少し勉強の仕方を考えてみましょう。
よく、中高生や保護者が勘違いする点は授業を受ける時間を増やせば学力が伸びるという考え方です。確かに、授業を受けない時間は勉強しているなら授業を受けた方がマシと言えます。しかし、自学自習時間を削ってまで過度に授業を受けることはマイナス効果になることがあります。
学力を伸ばすためには、「①授業内容の理解」→「②復習の徹底(暗記の徹底)」→「③演習」→「④演習内容の理解」→「⑤反復練習」が一まとめになります。そのため、予備校や塾で授業を受けすぎている受験生の場合は①と③④を繰り返すだけになります。そもそも、②に時間を割かないと③④が効果的な学習になりません。
では、なぜ授業を多く受けたがるかと言うと、「強制的に勉強時間を作る」「授業を多く受けた方が安心」「自学自習ができない」が理由ではないでしょうか?また、予備校や塾側からすれば授業をすることで講習費を稼ぎたい思惑もあるため積極的に不安をあおります。そのため、授業を受ければ学力が上がるという考えが定着しますが、実際には目的意識を持って適切な量の授業を受けることが大事です。
最近の子どもたちの学力が下がってきた。計算力や読解力が昔より下がっていると言われ続けていますが、小学校も中学、高校も昔より夏休みが短くなっています。そのため、高校のテスト休みなど過去の思い出になっていることを考えれば、授業時間は増えているのに学力は下がっている。このため、単純に勉強時間を増やせば学力が伸びるというのは幻想である。あくまで、勉強しないよりマシになっているだけである。ただ、それでは受験には勝てません。
受験指導をする際に意識したいのは勉強量になります。実際に、受験指導をしているとA君は10分間で単語を200語チェックできるのに対してB君は20分かかります。そうすると、A君とB君では学力に大きな差が生まれます。
A君とB君が同じ時間勉強しても勉強量に差がある以上は時間の経過とともに学力差は広がるばかりです。実際に、A君は授業前の課題の200単語をチェックし終えた後に、待っている時間でもう200単語チェックします。当然、A君の学力が高くなって当たり前です。そして、B君の場合は間違った判断になるのはA君に追いつくために授業を多く受ければ良いと考えてしまう点です。
集団授業であっても個別授業であっても授業を受けるのは受動的になりがちです。もちろん、必要な授業を受けるべきでしょうが、問題となっているのは勉強量をどれだけ増やす学習をするかです。
以前、クラスの成績が伸びないからと放課後補習を週に何時間もいれている先生がいました。そもそも、通常授業でも単位数がもっとも多い科目にも関わらずに、放課後に週2~4コマ分を上乗せしているケースがありました(授業が終わるのが18時過ぎなどが普通になっている)。結果から言えば、クラス内の学力の低下を招きます。なぜなら、授業をすることによって授業の復習時間が減らされ、他教科の学習時間も減ることになったからです。もちろん、クラスの下位層は学力を伸ばすことに成功しましたが(*ただし、偏差値40が45になるイメージ)、上位層は学力を下げることになります(*偏差値60が55になるイメージ)。当たり前の話ですが、授業を受けているだけで復習する時間が足りていないからです。
そのため、授業時間に対して自学自習時間が少ない場合は注意が必要です。この自学自習時間を増やすことが勉強量を増やす鍵になることは知って欲しい所です。
勉強量を増やす方法は、まず自分の学力にあった参考書を繰り返し学習することです。受験生の中には、「どれくらい覚えることができた?」と質問すると「今、2周目です」と答える場合がありますが、そもそも何周したかを数えられるレベルでは論外です。何度も何度も繰り返して定着させることが大事です。例えば、漫画の本を読んでいても、初めて読んだ時より、2回目、3回目の方が早く読めるだけでなく、気づかなかった描写も気づける、展開も先読みできるのはわかるでしょう。参考書も同じで自分に合った参考書を何回も繰り返すことが勉強量を増やすコツになります。
英単語300語のチェックをする際に、5科目200点程度の中学生であっても、偏差値40未満の高校生であっても繰り返し取り組んでいけば20分程度で終わります。つまり、1つの参考書をしっかり学習することは現在の学力に関係なく効果的なことがわかります。
また、授業の受けすぎには注意をしてください。授業ばかり受けていると自学自習時間が減ります。実際に受験指導していると1:9~3:7(授業や解説:自学自習)がベストです。なぜなら、自学自習では自分に合った難易度で勉強できるからです。ただ、小学生や中学生の場合は授業時間の割合がもう少しあっても良いでしょう。小中学校では学習範囲が多くないこともあり、授業と並行して覚えることは可能なためです。
以上のことからも、学力を伸ばしたいなら勉強量を増やす取り組みで勉強をしましょう。勉強時間はモチベーションになりますが、時間だけに縛られれば本末転倒です。もう1度、自分の勉強方法を見直してみてはいかがですか?
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