高校に進学した生徒が実力テストのような感覚でベネッセの模試を受験する機会が多いと思います。進路マップなど色々な種類の模試がある中でスタディサポートを受験しているケースが多い。では、このスタディサポートは活用できているのか考えてみましょう。
ベネッセのスタディサポートは複数の難易度がありますが、単純に実力を把握するための模試ではなく、勉強面でのフォローがしやすいようにするための模試でもあります。では、実際に生徒に取り組ませていた時に活用できていたかと言えば、特に何も活用はしてきませんでした。もちろん、ベネッセの担当者から学校全体の傾向や問題点などの研修などは実施したことがあります。しかし、その研修をもって「この様な教育をしていこう」「この様な対策をしよう」などという話までに展開しません。なぜなら、授業をすれば何が出来ていないかはわかります。それを数値化して確信を得ているだけになっています。
そもそも、スタディサポートを受験した後に面談で振り返りをしたくても、30分×40人で1200分(20時間)もの時間がどこにあるでしょうか。では、クラス全体や学年全体で一斉に指導すればどうでしょうか?話を聞いていても落とし込めている感じはありません。また、振り返りシートを書かせることもありましたが、それをきっかけに勉強するという雰囲気ではありません。
結局のところ、生徒の学力の現状を何となく把握でき、生徒自身は何となく自分の学力を知るだけになります。そのため、大学受験を意識しているコースや学力の高い高校でない限りは話のネタ程度になっている気がします。そのため、高校生にGTZどれくらだったか?と聞いても覚えていないケースが多くあります。
【進研ゼミ高校講座】スタディサポートが無駄かと言えば、そいう訳ではありません。まず、自分自身のGTZをしっかりと把握するようにしましょう。受験指導をしていく際に、GTZが高い生徒ほど学習効率が高くなる傾向があります。何か、当たり前のことを書いている様ですが、どれくらい伸びしろがあるかを判断できるという点です。
もし、高校1年生の入学時にGTZがAゾーンであるから大丈夫と考えるのは早計です。高校2年生、高校3年生としっかりと勉強していかないとGTZは落ちていきます。そのため、スタディサポートでは現状の学力を単純に把握するのではなく、将来の学力の伸びの参考にもなります。
実際に受験指導していく中で、Bゾーン以上/Cゾーン/Dゾーンで学力の伸びが大きく違います。受験勉強を取り組むことを前提に考えれば、Bゾーン以上であれば難関大学(A1以上)に合格させるのはそれほど難しくありません。Cゾーンであれば、かなりの労力が必要になりますが、そこそこ学力がついてきた段階で急に壁が出てきます。Dゾーンであれば、義務教育レベルの内容ができていないことに痛感させられます。そのため、回り道でも基礎からやり直した方が良いので受験勉強時期が短いと間に合わない可能性があります。
結果、①Bゾーン以上であれば今後の勉強の仕方で難関大学に進学する可能性が高い、②C・Dゾーンであれば基礎力がないので、基礎を徹底的に見直す必要がある、この2点がわかります。そのため、自分自身が何を学習すべきかがわかります。この辺りを個人面談などでフォローしていけば効果的な模試になるのですが、真面目に面談すれば3週間ぐらいかかります。模試を受けて約1ヵ月後にデーターが返却され、そこから3週間も経てば、もう学力も変わってきています。実際、高校によっては返却時期が必要以上に遅い場合もあるので受けさせているだけかな?と感じることもあります。
ただ、学校の定期試験では把握できない学力を測定できる点では高校生にとって良いものでしょう。一方で、高校3年生の5月頃の模試まで平均点が低すぎるので、Bゾーン以上であっても安心せずに計画して学習に取り組みましょう。(*難関国公立大学であればA1以上は欲しい)