高校生に対して、部活動も学校行事も一生懸命に取り組んで受験勉強でも成功しなさいと本気で言っている人がいます。ただ、言葉にするより本当に簡単なことなのでしょうか?もう少し現実を考えながら行動する必要はあるのではないでしょうか?
受験勉強と部活動はよく考えられる問題です。そのため、色々な組織がアンケートを実施していますが、概ね部活動に取り組みながら第一志望の大学に合格した生徒の割合は多いです。だから、高校では部活動を積極的にしても大丈夫は短絡的ではないでしょうか?
まず、第一志望の大学に合格したことは事実です。ただ、志望校の難易度を変えれば第一志望が合格するだけの話です。例えば、部活動に入っていなければ早慶に合格できたが、部活動に入っていたことでMARCHになった。もちろん、ifの話ではありますが現実にありえる話です。
以前、高校1年生か2年生までに受験勉強を始めれば神戸大学程度は狙えると思える子がいました。ただ、部活動も熱心に取り組んでいました。そのため、模試では入学時(高校1年生)から高校2年生の終わりには偏差値で20程度下がってしまいました。ただ、3年生になった段階で「関関同立」を目指すか「部活」かの選択時に部活を選び指定校推薦で産近甲龍にも満たない大学に進学することになります。本人は第一希望の大学に合格しています。でも、文武両道できたと言えるでしょうか?(*もちろん、部活を引退後に勉強を追い込むことを薦めたが指定校を選んだ結果になります)
結局、本人の不満がないことから文武両道はできると安易に思い込んでしまう原因になります。でも実際には違った未来もあったかもしれません。それも考えていきましょう。
簡単に文武両道と言いますが、高校2年生までは問題ないかもしれません。しかし、高校3年生では部活動の負担が急激に重たくなります。下図は、それほど厳しくない部活度の活動時間を書いてみました。実際には、これより少ない部活もあれば多い部活もあると思います。まずは参考にしてください。
平日の活動時間 | 土日の活動時間 | 1週間の活動時間 |
2時間×4 | 4時間×2 | 16時間 |
通学時間などを除いても1週間で16時間の時間(平日を1日休みとする)を部活動に使用するなら1ヵ月間で64時間以上、2ヵ月で128時間以上、・・・そして7月引退と考えれば256時間以上の時間が失われます。まず、128時間であれば4単位授業を1年間受講した時間に匹敵します。256時間であれば夏休み中に受験勉強した時間に匹敵します。
言い換えれば、夏休み期間に一気に成績を上げることができるのは集中して勉強時間を確保することができるからです。それだけの時間が無くなることにも関わらずに文武両道は可能でしょうか?逆に、部活動をしていない受験生からすれば、それだけのハンデをもらっているからには受験勉強で負けたくはないでしょう。
以上のことから、現実問題として勉強時間が大きく異なる以上は文武両道と簡単に考えない方が良いでしょう。でも、だからと言って部活動をするなではありません。この様な現実が待っている以上は何をしておくべきかを考えて行動しましょう。
文武両道を達成するためには2つの側面があります。1つは受験生本人の行動と、もう1つは学校側の問題です。
まず、受験生自身ですが①中学時代に地区トップレベルの高校に進学できるだけの学力をつけている、②高校3年生までに基礎学力を身に着けている、この2点になります。まず、①ですが中学時代に地区トップクラスに合格する力があれば基礎学力と受験勉強への姿勢は手に入れていることが多いです。そのため、スタートが遅れても追い上げる可能性が高いことが多いです。一方で②に関しては、高校生活を単純に楽しむだけでなく受験勉強の必要性は念頭に置いて行動をしておきましょう。例えば、英単語や漢字をしっかりと読み込む(仕上げる)だけで変わります。皆と一斉にスタートしようとするから大変なだけで事前に少しづつでも勉強しておけば問題ありません。ただ、実際には勉強している高校生の方が少ないから文武両道は難しいと言えるのですが、それができれば部活動も受験も両立はできます。
学校側の問題としては、受験勉強をサポートする意思があるかどうかの問題です。例えば、授業自体が受験とはまったく関係ないないようばかり…(でも、内職も許されない)ことがあります。また、引退して受験勉強に集中すると言っていたはずの受験生が、よく部活動に呼ばれている場合があります。こちらが過去問演習をさせていても途中でいなくなって部活に行くなど受験を軽く考えている顧問もいます。そのため、1日の大半で過ごす授業などがしっかりしていないと文武両道が難しいのも現実です。
以上のことからも、部活動や学校生活を満喫させながら受験勉強で成功するためには生徒自身の行動と学校側のサポートの両輪は不可欠です。それは、受験勉強を軸に置いた高校の生徒や中高一貫校の生徒などのライバルが存在していることは忘れてはいけません。
ただ、大学進学者の半分程度が推薦入試を使用していることを考えれば文武両道を目指して頑張るのもアリではないでしょうか。