• 大学受験・高校受験の志望校合格へのポイント

教員不足の原因を解消する方法は存在するのか?①~部活動の改善だけで解決できない問題~

深刻化する教員不足

はじめに

全国的に教員不足が叫ばれている。少し前までは門戸の狭い職種であったにも関わらず、最近は労働時間の長さストレスの多さなどからブラックな職場環境として定着してしまった。また、正教員の穴を埋める非正規講師(常勤・非常勤)の登録者も減っている。このままでは、クラスの生徒人数削減どころか従来の教育水準も維持できなくなっているが、これを改善する方法は存在するのか?

部活動だけが問題ではない

教職員には部活動の当たり外れは存在します。運動部であり、サッカーや野球のように1日に何試合も消化できない競技であれば毎週練習か試合が入ることがあります。そうなると部活動顧問になると土日祝日が潰れることは当たり前になります。一方で、部活動が活発ではない顧問になると余暇の使える時間が大きく変わります。そのため、顧問ガチャは存在します。もちろん、自ら望んで顧問をしている教員は良いかもしれませんが、半強制的に任された顧問ではプライベートを犠牲にしてまで取り組む意欲は少ない。そもそも、同年代の同僚ですら部活動の種類のよって負担が変わってくるのを簡単に受け入れられるでしょうか?

「部活動は仕事の一環だから仕事の内容を選ぶな」という意見もあるかもしれませんが、残念ながら仕事とは言えません。なぜなら、働いた分だけそれに見合った報酬はもらっていないからです。(例えば、1日試合で朝早くから夜まで拘束されても手当は1500円~3000円程度しかありません。世間では休日出勤の場合は割増賃金が発生するはずですが…。)そのため、ボランティアの要素が強すぎます。ワークライフバランスなどないに等しい場合があります。

そのため、部活動を地域に移行すれば教員の負担が少なくなると考える人も多いですが、負担を減らすには完全移行の場合ではないでしょうか?実際に、顧問は無報酬の仕事の一環として扱われるのに対して、部活動の外部講師には一定の報酬が支払われます(*ただし、決して多い金額ではありません)。ここでも、違和感を感じる人もいるでしょう。

結果、部活動の有無より先に、教員の仕事に関する違和感を改善する方が先ではないでしょうか?

教職現場の非常識

まず、部活動の問題を改善するためには労働に対する対価をしっかりと支払う必要があります。昔の教職が狭き門の時代であれば、「若者だから経験を積め」「講師なら部活動を一生懸命にしてアピールしないと」など押し付けることができました。しかし、教員不足の中で半強制的に部活動を押し付けることは簡単でしょうか?若手教員の中には部活動の負担が重すぎて学校を離れるケースもあります。ここで問題となるのは、真面目な先生ほど一生懸命にし過ぎて潰れてしまうことです。そのため、働いた分だけしっかりと報酬をもらうのは当たり前です。ただ、実際に支払ったら人件費が膨大に増えることになりますが、それはこれまで先生の犠牲で成り立っていたといえます。それこそブラックな職場の典型ではないでしょうか?

また、部活動に熱心な先生は単純に考えて拘束時間が多くあります。一方で、教科や公務分掌の業務もあります。授業の合間だけで全てが終わるでしょうか?もちろん、部活動をしている先生の中には部活終了後に通常業務を始める場合もあります。そうすると、サービス残業時間が大幅に増えます。ますます、職場がブラックと言えるでしょう。一方で、部活の影響で書類や企画が滞るケースもあります。こちらが期限内で終わらせても部活があったからと平気で期限を遅れるケースもあります。また、そもそも教材研究を何年もしていない先生もいます。そのため、教科指導・公務分掌を滞らせるなら一生懸命部活動すべきでしょうか?もちろん、両立している先生も多くいるのはわかりますが、若手は果たして簡単にできるでしょうか?

そのため、部活動を複数顧問で負担を平等にすれば両立自体は簡単でしょうが、果たして現実的でしょうか?

「生徒のために」で縛る教員

部活動の負担が重たいのであれば顧問が練習日程や時間、参加すべき大会などを調整すれば問題は解決することが多い。なぜ、土日まで練習に参加しないといけないのか?なぜ、参加できる全ての試合に参加させないといけないのか?実際に、3年生の最後の大会がお盆期間であったこともあり副顧問に引率を任せて休んでいる先生もいる。そうすると、批判的な声があるが「生徒のために…」という言葉に顧問が縛られ過ぎていないだろうか。

例えば、「保護者からの要望があるから練習時間を増やす」「生徒からもっと練習がしたいという声がある」「教職員からももっと部活をしないといけないと言われる」など色々な角度から自己犠牲してまで部活をすることが薦められる。ただ、部活動顧問がすべての責任者である以上は自己判断で決めるだけの主体性は必要かもしれない。ただ、その際に何も知らない若手教員を当たり前の様に巻き込むのはどうだろうか…。そうすると、顧問が主体的に部活動の練習時間を調整するなら負担は大幅に軽減される。逆に言えば、同調圧力により顧問が頑張らざる負えない職場になっている学校があることが問題である。

もっとも、最大の問題は部活動に熱心な先生は多くいるが、勉強のために放課後に補習指導している先生はあまり聞かない。中学生の多くが塾に通っている以上は、勉強に対するニーズがあるはずだが、あまり話に聞かない。そのため、「生徒のため…」と言いながらも本当に生徒のためなのか?テスト期間でも練習する部活しているケースもあることを考えれば、何が正解なのか?

ただ、教職のブラック化を変えるためにも部活動は転換期になっているのは間違いない

コメントを残す