
はじめに
生徒数の減少や教員の負担軽減を狙って部活動の地域移行が本格的に行われている地方公共団体も増えてきました。しかし、この地域移行が部活動を衰退させる可能性があるかもしれません。では、その理由について考えていきましょう。
部活動が抱える問題点の多くは顧問の問題かもしれません。
自ら部活動の顧問になりたい教員は問題がないように思えますが、半強制的に顧問にさせられる部活もあります。もちろん、仕事と考えれば任命されれば拒否することはできませんが、未経験者であっても簡単に運動部の顧問にする場合もあります。ただ、常に疑問に感じてきたのは競技の経験の有無に関わらず、必ずしも専門的な知識や訓練、資格を持っていない教員が競技の指導をしても良いのかという点です。
確かに、熱心に部活動を指導している先生はいます。競技によれば審判を保有している先生はいます。また、本人が学生時代に全国大会などに出場している場合もあります。しかし、それはあくまで競技者としての経験になります。そのため、複数の専門スタッフがいる中で指導するのではなく、顧問に依存した状態になります。結果として、間違った指導方法や練習を取り組んでいる可能性があります。例えば、テレビで強豪校のトレーニングが流されていましたが、補助なしでウエイトリフティングの筋トレをしているシーンがありました。そのため、「もし」なにかあった場合に助ける人がいない状態でトレーニングすることが日常化しているといえます。そのため、中学生や高校生にも関わらずにスポーツに関連した故障で通院をしているケースがあります。
もちろん、顧問の先生が必死に努力してケアの方法やトレーニング方法、練習方法を最新の情報にアップデートしている場合もあるでしょう。ただ、本職は「生徒・保護者対応」「授業」「校務分掌」になります。特に、授業以上に校務分掌の仕事が通常は多いことを考えれば、常にアップデートができるわけではありません。そのため、指導面はプロに任せることが一番安心であるというのも納得できます。
一方で、部活動をしたい先生は「やりがいを奪うな」と反論する場合もあります。しかし、部活動は教員の満足度を高めるためにやるべきではないでしょう。むしろ、授業の質の向上や校務分掌での仕事を軽視している場合は顧問などしている場合ではないかもしれません。
生徒数の減少もあることから部活動が地域移行することは仕方がないかもしれません。もちろん、サッカーのユースチームの様にプロの組織が小学生の頃から専門的に教育していく形は組織として成功していると考えられます。しかし、その様な組織が出来るのは一部の地域と部活だけかもしれません。結果として、地域移行しても、学校の顧問と同じく競技経験者が指導するだけかもしれません。
また、報酬が出るにしても専門職として働くには報酬は少なすぎます。そのため、限られた人だけが指導者になるかもしれません。そのため、不適切な場合は誰が判断して、そして代わりの人は誰が指導するのか不明瞭になるでしょう。例えば、子ども会レベルの競技でさえ監督をしているボランティアの大人は小学生低学年でさえミスすれば暴言を吐いてしかっているシーンは何度か見ています。
結果として、地域移行により専門的な指導者に指導してもらえるケースもあるのですが、期待以上の結果がない場合もあります。身近な例でいえば、塾に通ったからといって専門的な先生に教えてもらえるでしょうか?多くは講師と呼ばれるアルバイト先生でないでしょうか?それなら、高額の授業料を支払えば(もしくは集団塾)専門の先生に教えてもらえるかもしれません。
以上のことを考えれば、地域移行も必ずしも専門的な練習ができるという結果にならないかもしれません。
現在の地域移行では、学校での顧問による指導と外部の指導員による指導の2パターンになります。実は、この点に少しの問題点を感じます。
①責任が分散される可能性がある。試合の勝ち負けだけでなく、選手選び、怪我、喧嘩、送迎などは誰が責任を持つかという点です。外部の指導員が引率中に怪我をした場合に学校は何もしなくて良い…とならないはずです。そのため、学校の責任なのか、外部の指導員の責任なのか、どちらが責任があるかを明確にする必要があります。
②外部の指導員がルールを守っているかは誰が把握。部活動などをしていると生徒の連絡先(LINE)などでやり取りをする場合があります。ただ、基本的に不必要な連絡の交換はしません。しかし、話を聞いていると中学の卒業時に連絡先を交換している先生も現実問題としています。そう考えると、外部の指導員と私的な連絡をしているとしても誰が気づくのでしょうか…。これが発覚した場合に責められるのは学校側になります。
③学校の顧問と外部の指導員の相性が必ずしも良いとは限らない。学校側の顧問と外部の指導員が互いに密に連絡を取り合いながら運営していけば効果はあります。ただ、それをすれば教員の負担が重たくなるだけです。また、部活動に対する考え方も異なる場合も多いためにトラブルに発展する場合もあります。そのため、バランスよい丁度良い距離感を保つために苦労も多いでしょう。
以上のことを考えれば、部活動は完全に地域移行した方が学校の負担は減るでしょう。
地域移行すると放課後から活動場所までの移動時間がかかります。そのため、意欲がない生徒は部活動を積極的にしなくなります。また、学校単位の試合出場がなくなるのであれば、学校側はそれほど背中を押さなくなるかもしれません。一方で、地域移行すれば他中学・高校の生徒との交流や地域住民との交流など良い点もあります。また、やる気がある生徒だけが集まることや部活動の種類も増えます。
ただし、これまで本気で部活動をしたくない生徒層が部活動に加入する可能性があります。週3~4日程度で良いし、ゲームを楽しめれば良いと考えるライト層が部活動に加入するかもしれません。例えば、野球に興味があっても週6~7日夜遅くまで練習する部活に、勉強も頑張りたい生徒は加入するでしょうか?そのため、地域移行と校内の部活(ライト層)を2段階で行う取り組みが必要なのかもしれません。ただ、あまりにも未知数ではあります。