はじめに
公務員は教員は世間を知らない、民間企業を経験しているから効率が悪いと批判的に言われることが多い。しかし、本当に民間企業経験者が優れているのか考えてみたい。
そもそも、民間企業を経験して教員になっている人は多くいます。実際に、私自身もそうでしたが、〇〇で働いていたなど企業経験がある教員はいます。では、民間企業を経験した教員は優秀かと問われれば必ずしも当てはまりません。
例えば、管理職にさえ挨拶できない教員(敬語で話せない教員)、会議に平気で遅刻する教員、簡単に約束を忘れる教員など一般常識がない民間企業出身の教員は多くいます。そのため、民間企業の経験ではなく、その人自身の能力が教員にふさわしいかどうか大きく関わってきます。それにも関わらず、民間企業経験があれば社会人として一般常識があると誤解しているケースが多いですが、多くの人がイメージするのはマイナスイメージの公務員像と出来る社会人としての偶像ではないでしょうか。
よく、公務員は非効率的で無駄が多いと揶揄されますが、実際にその一面はあります。ただ、残業代など請求しやすい環境にあることから高コスト体質なだけではないでしょうか。民間に委託すればコストは抑えられますが、その裏ではサービス残業が横行しているだけかもしれません。サービス残業ありきの経営で効率が良いとは言えないでしょう。そのため、その様な環境で業務をしていた人材が効率的に働けるとは思えません。ただ、民間企業から教員になって感じたのは、お酒の席が実質的に強制でなくなった点です。あるいは、歓送迎会などで「管理職にお酌にいかないといけない」と考える必要がなくなった点です。ある意味で、飲みにケーションをすることで円滑に仕事をする力を身につけることはあっても、それも今では時代遅れになっています。
大前提として、民間企業では定時で退勤できればホワイト企業認定されるほど決して効率的な仕事の働き方ではないでしょう。また、民間企業の倒産件数は2024年上半期で5000件を超えており、決して民間企業が経営が万全というわけではありません。そのため、単純に民間企業の経験がないから教員はダメという判断は早計といえます。
教員の問題点は序列関係があるようでない点にあります。流石に、管理職であれば明確ですが各分掌の部長クラスでは役職なしの教員と立場が変わらないケースがあります。むしろ、年配の先生の方が優遇されている場合もあります。
実際に、会社員時代は上司から仕事から振舞から厳しく注意されてきましたが、教員になって感じたのは教員を注意する人が少ない点です。特に、最近はパワハラ問題もあり顕著になっています。例えば、行事ごとに寝坊して遅刻しても怒鳴っている声が聞こえない…、身嗜みをしっかりしなさいという割にラフな格好で出勤する先生や髭を伸ばす先生がいても注意はされない…。職員室で眠っていても誰も注意されない。特に教員は管理職への志向が低く、ヒラ教員で十分と考える人が多いため周りの目を気にしない人が多くなっているのかもしれません。それにも関わらず、精神的にダウンする先生が多い様に仕事が一箇所に集まり過ぎる、チームで連携することなく個人で対応を迫られる、どこに配属されるかで負担の大きさが異なるなどの問題があります。では、ここに民間企業出身の教員を入れて上手く回るかといえば、同化していくか苦労するかに分かれるでしょう。特に、民間企業でも最近は注意できなくなっているので、さらに深刻化される場合があります。
また、公務員である以上は公平さを意識する必要があるため、利益になる人だけと付き合えるわけではありません。実際に、企業勤めしている際には、利益を生まない顧客に時間を割くのは無駄(自分の評価にならない)と言われてきました。最近は、一般企業でもお客様は神様の信仰が薄くなってきたように、顧客を取捨選択できるようになっています。でも、公務員はそれはできません。また、誰かを特別扱いすることもできません。それが公務員なのですが、そもそも民間企業と同じ土俵に立っているわけではありません。ただ、下請け企業などは無理難題を押し付けられても従わざる負えないように、ある意味で苦しい立場にあります。
民間企業経験者だろうが、教員しか経験なくても、どちらでも問題はありません。ただ、人材として欲しいのは一般的なバランスを持った人材ではないでしょうか。
当たり前ですが、身嗜みができる、挨拶ができる、仕事中にプライベートの携帯を触らない、コミュニケーションがとれる、状況を把握でき行動する等の能力があれば良いのです。当たり前のことが難しくなってきたのが一番怖いことかもしれません。