公 開 | 2015年 |
監 督 | 三島有紀子 |
原 作 | 池辺葵『繕い裁つ人』 |
時 間 | 104分 |
出 演 | 中谷美紀 三浦貴大 伊武雅刀 余貴美子 片桐はいり 永野芽郁 |
主題歌 | 平井堅「切手のないおくりもの」 |
配 給 | ギャガ |
興行収入 | 1.8億円 |
祖母が始めた洋裁店を継いだ市江(中谷美紀)は頑固な性格をしており、時代が移りゆく中で祖母の意思を受け継ぎ、 「一生添い遂げられる服」にこだわって、その人だけの服を作り続けていった。 『このマンガがすごい!』(2012年)のオンナ編で17位にランクインした 池辺葵の漫画を映画化した作品。
『繕い裁つ人』を観ればわかるのですが、映像は比較的美しいシーンが多いです。神戸の街並みと昔ながらの洋裁がレトロ感を出して観ていて面白い作品になります。主人公である市江が演じる頑固で不器用な生き方に関しても中谷美紀が上手く演じていると感じます。
設定されたテーマなど面白くんばる点は多くある映画です。 「一生添い遂げられる服」 という考え方は、登場人物のセリフの中で納得させられる場面も多いです。一方で、残念なのが基本的に物語が上手く展開されていない点です。
最大の問題に感じたのは、市江の服をブランド化を頼みに行っている大丸の社員である藤井( 三浦貴大 )の存在です。藤井の行動に疑問を感じたのは、「お願いに行っている立場でありながら上から目線で話す」「市江の方が年上なのに上から目線」「大丸の社員は暇なのか」と物語の雰囲気を壊す態度であった点である。そもそも、新入社員が勘違いしている感じであれば可愛らしくも思うのだが、よい年齢の営業がやってよい言動ではなかった。服が好きだし、老舗が潰れて欲しくないけど裾直しだけで服を買わない行動も意味不明である。
最初から最後まで好きになれない性格をしていた藤井であるが、なぜ市江は藤井のことが気になったかが転換点がわからない。大人の恋愛(淡い恋?)を描いているのだが、そこまで面白くはない…。
結果、 『繕い裁つ人』 は雰囲気を楽しむ映画であると感じることができる。刺激的な内容はないが、一つのことを続ける主人公に焦点を合わせて物語がすすめられている。神戸の街並みなどが奇麗に映し出されているので楽しむことができる(あまり、神戸にゆかりがない人が観たら奇麗ぐらいにしか思わないかも)。一方で、舞台は神戸なのに登場人物は標準語なので、最初は神戸が舞台と思わなかった。
原作は漫画であることは観終わってから知ったが、確かに漫画なら面白い設定に思える。映画は藤井の妹などを中途半端に使うなら3人の少女を上手く描いた方が面白かったかもしれない。
良くも悪くも、静かな物語になります。大人のしっとりとした物語を観たい人はご覧ください。
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