作 者 | 吉田篤弘 |
出版社 | 中公文庫 |
ページ数 | 287ページ |
![]() | それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫) [ 吉田篤弘 ] 価格:691円 |
路面電車が走る町に越して来た青年が出会う人々を描いた温かい物語。主人公の青年は古い映画を繰り返し観ることが好きで同じ作品を何度も何度も観ていた。その映画で出演している女性に恋をしていた。何気ない日常だけど、どこか落ち着く作品。
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』は1人の青年が引っ越してきた街で色々な人と出会っていく様子を描いた作品であるが、大事件が起きるのではなく、普通の日常を余計な言葉がなく描いた作品である。そのため、どこか安心して読むことが出来る。人間の嫌な部分を見るわけではなく、恋愛の煩わしさを感じるのではなく、ただ1人の青年を通して何気ない街を楽しめる作品である。
主要な登場人物も決して多いわけでなく、サンドイッチ屋<トロワ>の安藤さんと息子のリツ君。そして、大家のマダムに映画館で一緒になる緑の帽子をかぶった初老の女性ぐらいがメインである。
そのため、手のひらサイズの世界を描いていることもあり心地よい作品であった。
イーブックジャパン本作を読んだ人は誰もが感じることですが、サンドイッチとスープが食べたくなります。ここは鮮明にサンドイッチとスープの映像が浮かんできます。でも、一番良かったのは「名もなきスープ」の秘訣です。凄く曖昧だけど、凄く納得の秘訣です。その辺りも、心が温まる点かもしれません。
読んでいてお腹が空いてきますが。それだけ、しっかりと描かれた作品なのでしょう。
休みの日に穏やかな気持ちで読むと良い作品ではないでしょうか。
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