作 者 | 西加奈子 |
出版社 | 幻冬舎 |
ページ数 | 329ページ |
発行日 | 2011年 |
その他 | アニメ映画化(2021年) |
![]() | 価格:660円 |
太っていているが明るい肉子ちゃんは、男に騙されならがら転々と暮らしていた。そして、蒸発した男を追いかけて小学5年生のキクりんと小さな漁港にたどりついた。そこで焼き肉屋「うをがし」の店主サッサンと出会い働かせてもらうことになる。
前作記事:『つむじ風食堂の夜』吉田篤弘が描く色々な人々の交流を描いた小説(映画化)
『漁港の肉子ちゃん』はアニメ映画を観たことはないのですが、明石家さんまが関わっていることもありTVで予告を散々見させられたこともあり、肉子ちゃんの存在が非常にインパクトがあり過ぎました。結果として、本を読んでいて頭に浮かぶのはアニメの肉子ちゃんばかりになってしまい、その点が残念でした。ちなみに、予告ではキクりんの印象が薄いこともあり覚えていなかったのですが、読み終わった後に調べたら想像と全然違う雰囲気で驚いた。
小説の内容自体は読みやすい(読みやすすぎる)所もあり、複雑な家族ではありながら深く考える必要もありませんでした。それも肉子ちゃんの影響なのかな?最後のオチなどに関しても想像ができる内容でもあるので、ある意味でベタ、ある意味で安心して読める本ではあります。物語の途中で挿入しながら進むのも自然だったので良かったかなと感じました。
そして、この物語は肉子ちゃんを主人公になっていると思ったのですが、娘のキクりんの方の視点が中心になっています。どこか大人びているがよそよそしいキクりんが周りの出来事や学校のことで悩みながら成長していく姿が描かれています。そのため、学校でのトラブルに関してもベタではあるが、あぁとなる感じがありわかりやすかった作品です。
確かに、肉子ちゃんのデリカシーのなさや男に騙される姿は子どもがいるのにどうなのか?と思うことも多いのですがキャラクターで済まされるのもすごい。だからこそ、キクりんの微妙なよそよそしい性格はわからないでもありませんが…。家族愛で終わらせているレビューも多いですが、港町にきても浮気関係になるなど…家族愛なのか?とも感じられるし、肉子ちゃんの存在だから仕方がないとも考えられるし…。近くではしんどいけど、遠くなら楽しい人なのかな?
結局、思ったより早くに読み終わったので面白かったのでしょう!
コメントを投稿するにはログインが必要です。