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共通テストの導入で大学入試が迷走する要因となる【教育】

方向性がわからない大学入試改革

はじめに

共通テストが導入された後に、思考力を試す問題といっている一方で、英文の文章量が大幅に増加するだけでなく、大幅に平均点を下げた数学など受験生にとって苦難の連続である。さらに情報の導入などますます混迷を極める共通テストであるが、本当に大学入試改革をしていると言えるのでしょうか?

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まず、思考力など大学生の学力をつけるために共通テストを難しくしただけなら問題はない。確かに、各教科で処理能力を求めるだけの問題や地頭が良い生徒が有利そうな問題もあるが、大学進学後にしっかりとした学力を確保するという名目なら納得はできる。ただ、問題となるのは学力を重視しない推薦入試の枠を広げて一般選抜入試だけが難しくなっている現状である。この点は非常に不満が残ることがあり、一生懸命勉強をつづけた生徒が不合格になったのに、小論文や面接など対策して(場合によりは数科目)合格する生徒がいることである。

「もし、あなたがその様な場面でどの様に感じますか?」

「頑張ったことは自分の糧になる」「入試は水ものだから」など何とかフォローする言葉は出てくるかもしれませんが、一般選抜に向けての頑張りを本当に見ていたなら何か腑に落ちないことはないでしょうか?もちろん、小論文対策や面接対策なども大変なことはわかります。実際に指導してきて一般選抜では絶対無理なレベルの生徒を推薦入試(いわゆるAO入試)で合格させてもいます。でも、一般選抜に対する労力に比べれば微々たるものです。そのため、推薦入試に力を入れて対策している学校や教育機関も増えているのも納得できます。ただ、一般選抜の勉強をする時間を削ってまで推薦入試対策に時間を割くことは果たして良いことでしょうか?もし、推薦入試がダメだった場合にワンランク下の大学に進学できるでしょうか?この狭間に立たされます。

そのため、大学入試改革で難易度が上がったなら勉強するしかないと考えられるが、推薦入試の枠を広げたことで勉強に対するモチベーションを上げることが難しくなります

もし、共通テストを目指しているなら、「中高一貫校に進学する」「高校生活で受験勉強に重きを置く」の2点をお薦めします。なぜなら、共通テストになって勉強しなくてはいけない内容が大幅に増えました。また、私立大学との問題に多くな差が出ていることから、共通テスト対策・私立大学対策・国公立対策の3点に取り組まなくてはいけません。そのため、部活度を熱心に取り組むことや学校行事に本気で取り組めないのが現状です。一部の私立高校では、部活動の制限や文化祭などは3年生は不参加(自由参加)にするなど色々な制限があります。それを聞くと可哀そうと考えるかもしれませんが、当の受験生は頑張っている生徒ほどそれを望んでいる場合があります。余程の余裕がある場合でなければ、これまでの努力が実らない可能性を考えて不安になり勉強を優先するからです。

このように考えれば、中高一貫校のように6年間をかけて中学受験をしてきた学生を伸ばすなら部活動と学校行事の並行は十分に可能でしょう。また、特進系のコースなどでは通常授業が受験対策になっている場合もあるので、それであれば高校生から頑張っても共通テストを乗り越えるかもしれません。少なくても、地区トップレベルの公立高校に進学しないと簡単に共通テストを対応することはできません。

ただ、これは難関国公立大学にいえることで、中堅国公立大学や地方国公立大学では合格難易度が大幅に下がっています。そうすると、難関私大の方が良いのじゃないかと考えてしまうのも無理がないかもしれません。

今では「国公立大学=優秀」の神話はなく、あくまで「難関国公立大学=優秀」の立ち位置になっています。もちろん、私大に比べて国公立大学の方が真面目な印象は受けますが、あくまで印象です。それにも関わらずに、国公立大学に合格することが評価されると考えている人も多くいます。そのため、都市部の高校でありながら進路実績には地方国公立大学が名前を連ねていることもあります。もちろん、その地方で卒業後も生活するなら良いのですが、そうでなければ地方国公立大学に進学する理由は何でしょうか?一部は、その大学にしかない学問を学ぶという考えもありますが、多くは都市部の難関国公立大学に合格できる力がなかったのではないでしょうか。それなら、難関私大に進学すれば良いのではないかと考えるのですが、学費面の点(理系や薬学部など)か単純に難関私大に合格する力がなかった可能性があります。実際に、中堅国公立大学に合格した生徒の中には産近甲龍レベルの大学も合格できなかったケースがあります。

このように、共通テストになってから「共通テスト」「国公立2次対策」「私大対策」が別々なレベルで対応しなくてはいけなくなっています。まだ、センター試験の延長線上に私大や国公立大学があった時代の方が指導しやすかったのは確かです。結果、余程本気で覚悟を決めて勉強する高校生以外は簡単に国公立大学を薦めにくくなっています。

結果、わざわざ国公立大学を目指す意味はあるの?難関私大で十分でないの?と考えてしまいます。その迷いが受験生を私大シフトさせる要因になります。

一体、大学入試改革は何を目指しているのでしょうか?何もかも詰め込み過ぎて、ごく一部の人間しか対応できない入試改革は必要でしょうか?もっとも、推薦入試を辞めて、全て学力試験による入学のみ認めるようにした方が意味があると思います。

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