近年は、学習指導内容の変更など指導内容や方法が大きく変わってきています。以前は頻繁に聞かれたアクティブラーニングの様に先生の話を聞くだけの授業から能動的な授業に代わっています。でも、本当に小学生の学力は伸びているのでしょうか?むしろ、学力格差だけを生んでいるのではないでしょうか?それについて考えてみましょう。
小学校で英語教育が導入された一方で、パソコン(タブレット)を持たせて調べもの学習など授業内容は大きく変わってきています。しかし、昔と比べてパソコン(タブレット)を使用している大人が知的好奇心が増えているといえるでしょうか?インターネットを使用すれば政治や経済から科学まで瞬時に多くの情報を獲得できます。それは文字だけでなく画像から動画まで幅広い情報がありますが、大人が知的好奇心が高まったという話は聞きません。もちろん、特定の分野(興味ある分野)の深まりはありましたが、いわゆる学校教育で学習する内容を深堀している人はどれくらいいるでしょうか?学生時代解けなかった数学の問題などインターネットで検索すれば色々あります。でも、多くの人は興味がないと思います。つまり、子ども達がタブレットを使用して授業を受けたから学力が上がるのではなく、どの様に子ども達に落とし込めるかが重要である。恐らく、タブレットで調べもの学習するだけでは30分ぐらいのドキュメンタリー番組を見せた場合と学習効果は変わるでしょうか?調べもの学習が悪いのではなく、それを次にどうやって活かせるかが大事ですが、そこまで細かく授業計画を立てるには仕事量的に無理があります。
例えば、調べもの学習の際にグループで行動しながら色々と話し合いながら授業ができます。ただ、このマネジメントが難しくて、「脱線することも可能」「誰かに任せること(できる生徒に任せる)」「コミュニケーションが苦手な生徒にとっては苦痛」「グループ内の人間関係」などマイナスな面も多くあります。少し考えればわかりますが、社会人は様々な研修を受けているのですから、それを仕事に活かしきれていると言い切れますか?ただ、これらの授業が問題なのではなく、従来の授業形態が古くさい効果的ではないものと考えている点が問題かもしれません。
結果、調べもの学習や発表などグループや事前準備ができる授業が増えれば増えるほど、学力面では差が見えなくなります。「計算はできる」「公式は覚えている」という状態であっても、その中身を見た時には恐ろしいぐらいの差が生まれている場合があります。結果として、小学生から塾に通っている子どもと通わない子どもで学力差が拡大しているケースがあります。それが、中学校や高校で露呈することがあります。
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まず、前提に塾に通えば小学生の学力が必ず上がるわけではありません。塾の指導方針によっては勉強を本気で教える所もあれば、楽しく勉強で終わっている場合もあります。ただ、最近は子ども達の学力差が危ういことになっているのは否定できません。
例えば、中学1年生で直面するのが計算速度になります。「-2+8」が「+6」と直ぐに答えられないことが増えています。もちろん、できる子と数秒遅れで答えることができるため解き方がわかっていないのではなく、単純に計算速度が遅いと言えます。また、約分や小数点の計算になると更に時間がかかります。そのため「1.2x=56」など小数点の計算が大変なら両辺を10倍したら良いと言っても理解するまで時間がかかります。これは、数ヵ月かければ解き方がわかっているので改善していきますが、まず、①勉強の躓きを生む原因をつくっている、②より多くの勉強が必要となり学習意欲が低下する、この2点の問題があります。
要は、小学生の間に計算問題をしっかりとした分量を取り組んでいるかどうかが鍵になります。正直、学校の授業内容だけでは計算数が多くなれば解けない(解く意欲がない)場合があります。例えば、「1.2×1.5」は解けるが、「5.3×4.7」は解けない(時間がかかり過ぎる)など解き方は同じですが、明らかに学力差が生まれている場合があります。
さらに、読解力に関しては致命的に下がっている印象を受けます。SNSなどの影響だけではないのですが、言葉を知らないだけでなく文章の意味を理解することが苦手な子どもが増えている印象です。例えば、「夏休みにおじいちゃんの住んでいる田舎に行きました。そこでは、田んぼが多く自然がいっぱいでした」という文章があった際に、文中の「そこでは」は何を意味していますが?と質問しても答えられない場合があります。そのため、文章を理解して読んでいないことが多いことに気づきます。
確かに、SNSの影響が…と考えるかもしれませんが小学生であればSNSをしているケースが少ない。それより、話を聞いて理解する力が乏しくなってきたことが原因ではないでしょうか?一斉授業を否定的に考えている人が多いですが、人の話を聞いて理解する力は本を読んで内容を理解する力にもつながります。確かに、視覚的や動作による学習は即効性がありわかりやすいです。ただ、学力差が大きくついた高校生などで取り組むなら効果は期待できても、1から学力をつけていく小学生にわかりやすさだけを求めるべきでしょうか?結果、ネットの情報や漫画などでは理解できても専門書が読めない学生を増やす気もします。
小学校や中学校で保護者が期待するだけの学力を伸ばせない可能性は否定できません。そもそも、多くの小学生や中学生が学習塾に通っている現状ですら全国統一テストでは学力不足が露呈しています。理想は、塾に通わずに学力をつければ良いのですが…、現実は学校だけでなく塾も含めて学力が構成されています。
そのため、どの段階から塾に通うかどうかで学力差が生まれる可能性があります。もちろん、中学校や高校に入ってから急激に追い上げることも可能ですが、考えるより困難です。例えば、「高校から勉強を始める生徒」と「難関私立の中高一貫校に通う生徒」でどちらが東大や京大に合格するか全財産をかけてください、と言われれば間違いなく後者を選びます。もちろん、前者のような生徒でも東大に合格できる可能性はあります。ただ、どちらの方が確率論として可能性が高いかの問題です。
一方で、グループ学習や探求などで協同作業が増えているからと言って、最近の若者はコミュニケーション能力が高くなったという話も聞かないし、企画力が高いともプレゼン力があるとも聞きません。あくまでパソコンやアプリを昔より使えるようになった程度ではないでしょう。
ただ、塾に通えば学力に不安がなくなるという単純な話ではありません。やはり、子ども達の大部分はが学校生活であるため、「何を学ぶべきか」をしっかりと考えないと学習効果は高くないかもしれません。